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「まさか、こんな高級マンションに住む日が来るとは思いませんでした。……この観葉植物、水あげときゃいいのか?」
「おや、日本の警察はそんなに薄給なのかい?」
「役職にもよるでしょうけど、少なくとも俺にこの部屋は釣り合いませんね。……個人経営の"物好き"な相談屋が住むにも不自然すぎますし、それらしい"設定"を考えないと」
宝くじが当たった? いや、それよりも金持ちのパトロンがついたという方が現実的か。
ああでもないこうでもないと思考を巡らせていると、「ああ、それなら」と彼が手を打った。
「"VC"のアモーレを探すために世界中を飛び回る僕はとある石油王の友人で、一人でも多くの"VC"と出会おうと"相談屋"のキミを雇った。ついでに滞在中の身の回りの世話も依頼したが故に、こうして共に"城"で暮らしている。こんなストーリーでどうだい?」
「……石油王ってちょっと非現実的すぎないですか?」
「なーに、想像し得る"現実"を超えたくらいが丁度いいのさ。疑った所で、真偽を探る手段も持たないだろう? そういう場合、案外すんなりそういうものかと受け入れてしまうものだからね」
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