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「キミともあろう者が、忘れたのかい? "感染者"はいくつ歳を重ねていようと、十から二十を過ぎた程度の頃まで風貌が巻き戻る。多少、個人差はあるがね。今時、小学生でも知っているだろう?」
「! それは、そうですけど」
それは"V-2"感染者の話だ。
"ゼロ-ウイルス"保持者がどうかなんて、知るわけあるか!
「っ、俺の知る限り、日本において"ゼロ-ウイルス"の情報は殆ど周知されていません。むしろ、上がどれだけ掴んでいるのかすら」
「おや、それは失礼した。僕は特段、秘密主義という性分ではなくてね。訊かれれば答えるし、必要ならば手を貸す。今まで訪れた、どの国でもだ。……渡した"情報"が国際的に共有されているかまでは、気に留めていなかったからね」
充希は湯呑をカウンターに置き、
「さて、それならお勉強の時間だ、巧人。しっかり学んでレポートに纏めたら、ボスに提出するといい」
茶化したウインクを飛ばして、充希が続ける。
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