ヴァンパイアキラーの講義

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「まず、大前提として、僕は"V-2"保持者と同じくウイルス感染者だ。ただなんの悪戯か、僕に付与されたコードは多くの友に見られた"ヴァンパイア化"ではなく、異質なモノだった。超人的な身体能力、長命、そこは皆と変わらない。だが僕は血に飢えなかった。代わりに友を惹きつけ、破滅を与える身体にされた。僕の血は"V-2"を殺し、ただの人間に戻す。"0"に戻すんだ。だから、"ゼロ-ウイルス"」 「……"V-2"を持たない人間が貴方の血に"感染"したら、どうなるんです?」 「なにも起こらない。不思議なもんだろう? まあ、だからこそどの国も手を焼いているんだが」  おかしそうに口角をつり上げ、くつりと笑う。  外見年齢には些か不釣り合いな表情だが、実年齢を知ったせいか、違和感よりもその瞳の冷たさに背筋が伸びた。 「僕の血が"殺す"のは、あくまで"V-2"だけだ。だから安心するといい、巧人。僕の側にいても、キミはキミのままだよ。あの彼のように、僕の血に唆されることもないし、痛苦の淵で絶命することもない」
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