ヴァンパイアキラーの講義

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「須崎……あの、充希さんが求婚された路上の男の死因は、やっぱり"ゼロ-ウイルス"を摂取したからですか」 「そうさ、彼の摂取した僕の血が、彼の"V-2"を攻撃し、改変された遺伝子を元に戻そうとした。急激な変異は壮絶な痛みを伴い、まさに命がけ……それもまた"V-2"感染時と同じだが、なんせ二度目の"変異"だからね。耐えられないのさ、残念ながら。幸運の女神が微笑む確率は、宝くじで一等を当てるよりも遥かに低い」  ……つまり、ほぼ確実に絶命するということか。  理解すると同時に、小さな疑問が湧き上がってきた。  なぜ政府は、世界は、こんな"危険人物"の自由を容認してきたのだろう。それどころか時には"国賓"として迎え入れ、時には、膨大な金額で雇い入れ。  いや、答えは聞かずとも明確だ。  治療方法が存在しない今、"VC"は駆逐されるべき悪。それが、共通認識だから。  腹の奥が、黒く冷え行く感覚。 (……犯罪率でいうのなら、"VC"も"N"もそう大差ないってのに)  果たして"悪"なのは、一体どちらか。 「……巧人は本当に、"VC"が好きなんだな。いや、"人"が嫌いなのかな」
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