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俺はどこか毒気の抜かれた心地で、「言っておきますけど」と肩を落とす。
「高い茶葉を使えば、誰が淹れたって美味いですよ」
「そんなことはないだろう。コーヒーは同じ豆を使っていても、人によって味が変わる」
「コーヒーと緑茶は違うんです」
「そういうものか?」
「そういうもんです」
その気になれば国一つ難なく動かせる"ヴァンパイアキラー"。そんな彼とするには、あまりにも腑抜けた会話だろう。
だがこの時俺は、自分で思っていたよりも取り繕うことに必死だったようで。
本当に気に掛けるべき彼の言葉は別にあったのだと、後に知ることになる。
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