バーベナの目覚め

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バーベナの目覚め

 被害者が目を覚ました。  そう連絡を受けたのは草木も眠る丑三つ時で、俺達は朝を待ってから早速と面会に向かった。  千葉県の幕張にある、鈴ノ宮総合病院。医院長から看護師、そして患者まで全て"VC"であるそこは、まさにキャッチコピー通りの『"VC"による"VC"の為の医院』だと言えるだろう。  そこに、彼女はいる。 「へえ、驚いた。ここの医院長はロボット犬がご趣味かい?」  関係者入口でお座りをしていたそれを見て、小走りに近寄った充希が「よしよし、初めましてだね」と身を屈めて頭を撫でた。 「AIが搭載されたケアロボットです。基本的には心療内科にいますけど、身体が空いている時は患者の案内をしてくれます。ああ、頭以外は触らないでくださいね」 「怒るのかい?」 「いいえ。ただ充希さん、何をするかわからないから」 「随分と物騒な物言いだね?」 「今朝、電子レンジで卵と牛乳を同時に爆発させたのは誰ですか。忘れたとは言わせませんよ」  びっくりした。いやもう、ビックリ通り越して、普通にテロだと思った。  寝起きテロ。犯人は警護対象者。勘弁してくれ。
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