バーベナの目覚め

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 紅色の瞳。色素の薄い肌。肩上の、確かダークブラウンに染められていた髪は一本残らず銀の色に変わり、報告書よりも若さを巻き戻した面持ちが、彼女の身に起きた"現実"を色濃く証明している。  首元に巻かれた包帯に隠された吸血痕は、既に殆どが塞がっているに違いない。  左腕から伸びたチューブが、吊るされた透明な薬剤を彼女の身体へと運んでいる。 「……刑事さん、ですか? にしては、恰好が……」  明らかな不安を見せる彼女の警戒を少しでも和らげようと、俺は人当たりのいい笑顔を向けた。 「突然お邪魔してすみません。新宿で"VC"専用の相談屋をやっている、野際巧人って言います。目が覚めたと聞いて居ても立ってもいられず……。もっと早くにお助けできず、申し訳ありませんでした」  脚を揃えて深々と頭を下げると、 「あ! 意識を失った後、搬送されるまで対処してくださった方がいたと聞きました。あなただったんですね」  張りつめられていた、疑心と拒絶の気配が消え失せる。  俺はあくまで"たまたま居合わせた相談屋"の顔で、
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