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「それで一応"関係者"ってことで、こうして面会が許されたみたいです。本当は見舞いの品も持ってきたかったのですが……持ち込みは禁止されてしまって。その、なんか色々捜査中だとか」
伺うように言うと、栃内は眉間に苦悶を写した。
「……私を噛んだ犯人が、亡くなったそうです。突発的な心臓発作だったそうですが、こうして"被害者"である私が生き残ってしまったので、本当に"事故"だったと確定づけるにも、こちらの調査が必要なのだと言っていました」
告げる彼女の声色には、隠しきれない憎悪。自身を"変えて"しまった犯人への怒りに、赤い眼が更に色を濃くしたように見えた。
常ならば、被害者が犯人への復讐心に呑まれぬようフォローするのが定石だが、いかんせん今回は犯人が死んでいる。
行き場をなくした感情にのまれ、自暴自棄になってもおかしくはない。しっかりと彼女を守らねば。
「その、少し話をさせてもらっても?」
首を傾げて伺うと、栃内は「是非。話し相手も呼べなくて、退屈してたんです」とベッド横の椅子をすすめてくれた。
が、即座に、
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