バーベナの目覚め

7/18

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
「……今後は絶対に"うっかり"させませんからね」 「巧人はしっかり者だなあ」  そんな俺達のやり取りから顔見知りだと察したのか、栃内は俺を見て、 「あの、この方は?」 「ええと、すみません。怪しい者じゃなくてですね」 「ところで麗しき鳥籠(とりかご)のキミ。僕の"アモーレ"になる気はないかい?」 「え?」 「すみませんこんなでも怪しい者じゃないんです! 本当に!」 (挨拶代わりに口説くな! ってかホント手当たり次第だな!?)  思わず立ち上がってフォローをいれると、 「こら巧人、病室でそう大声を出すもんじゃない」  おまっ、アンタのせいだよ!  喉元で必死に押し留めて、悪戯に脚に絡みつく子猫を叱るような顔をする充希を睨め上げる。  拳を握るくらいは許されるだろう。  ぎりりと奥歯を噛んでいると、 「……あっはは! あ、すみません私ったら」  思わずといったように噴き出した栃内は、可笑しそうに頬を緩めたまま俺を見て、 「わかりました。野際さん、お笑い好きですね? それでプライベートで漫才コンビを組んでて、彼が相方さん。当たりました?」 「えっと……」
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加