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「……今後は絶対に"うっかり"させませんからね」
「巧人はしっかり者だなあ」
そんな俺達のやり取りから顔見知りだと察したのか、栃内は俺を見て、
「あの、この方は?」
「ええと、すみません。怪しい者じゃなくてですね」
「ところで麗しき鳥籠のキミ。僕の"アモーレ"になる気はないかい?」
「え?」
「すみませんこんなでも怪しい者じゃないんです! 本当に!」
(挨拶代わりに口説くな! ってかホント手当たり次第だな!?)
思わず立ち上がってフォローをいれると、
「こら巧人、病室でそう大声を出すもんじゃない」
おまっ、アンタのせいだよ!
喉元で必死に押し留めて、悪戯に脚に絡みつく子猫を叱るような顔をする充希を睨め上げる。
拳を握るくらいは許されるだろう。
ぎりりと奥歯を噛んでいると、
「……あっはは! あ、すみません私ったら」
思わずといったように噴き出した栃内は、可笑しそうに頬を緩めたまま俺を見て、
「わかりました。野際さん、お笑い好きですね? それでプライベートで漫才コンビを組んでて、彼が相方さん。当たりました?」
「えっと……」
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