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訊ねられた俺が答えるよりも早く、
「惜しい! 確かにコンビではあるが、僕達はコメディアンではない」
充希は自信満々に胸を張り、
「僕の花嫁探しをね、手伝ってもらっているんだよ。何を隠そう、僕はとある石油王の友人でね。つまるところ、お金には苦労させないし、望むものは何でも手に入る。だからどうだい? この不自由な鳥籠を出たあかつきには、ぜひ僕の"アモーレ"に」
「ほらやっぱり、当たりじゃないですか。その"石油王の友人"っていうのが十八番のネタなんですね。でもお二人とも、見たところ歳の差が少しありそうですけど……つい最近結成したって仲ではなさそうですし、元々のお知り合いだったんですか?」
「うーむ、ネタでないのだけどなあ。まあ、いい。僕と巧人が知り合ったのは、つい昨日さ。コンビを組んだのも昨日だね」
「もー、わかりました。そういうことにしておきます」
(……完全にお笑い好きの素人コンビにされてしまった)
クスクス笑う栃内は随分とお気に召したようで、それ以上の追求はなく、充希の"求婚"もネタとして受け流している。
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