バーベナの目覚め

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 この場で"俺"に話しかけてくるとは、よっぽど腹に据えかねているようだ。 (……清がいるから、余計に少しくらい大丈夫だと思っちゃったんだよなあ)  清は優秀だ。おまけに仁義に熱い。過去にバディを組んで任務に当たったこともあるが、あまりにやり易くて、拍子抜けしたくらいだ。口喧嘩はともかく。  つまるところ、俺は清を信頼している。まあ、一方的な信頼だけども。  なかなか反応を返さない俺に痺れを切らしたのか、清は後ろ手に組んだ姿勢はそのままに、眼光を鋭くした。 「……しっかり"護衛"しろよ、クソが」  VC専門の相談屋という肩書上、ここの"警備員"と知り合いだと知られても、違和感はないだろう。  が、出来るだけ危険因子は増やさないが吉だ。  清もきっと、同じように考えているからこそ、警備の姿勢は崩さずに目だけをよこし、出来るだけ声を潜めているのだろう。 「……悪かった。以後、気を付ける」  手短に答えた俺は、先を行く充希の後を追った。  微かに聞こえた舌打ちは、清なりの了承だから問題ない。 「すみません、お待たせしました」
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