ブラックメール

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「飼い主の思惑がどうであれ、キミはこれから彼女の為に動くのだろう? 無理を言って側に置いてもらっているんだ。巧人の仕事まで制限させたくはない。僕はこの国ではなく、巧人に協力する。既に具体的な方針があるのなら、事前に把握しておいた方が何かと動きやすいからね。僕に出来ることはあるかい?」  淀みない言葉には、嘘の気配がない。  だがまだ出会って、ほんの二日だ。互いに"信用"の範疇に収めるには、あまりにも早すぎるだろう。    (……いったい、何を考えているんだ)  なぜ日本に来たのか、なぜ俺の側を指示したのか。なぜ、俺にそこまで拘るのか。  知らねばならないことが多すぎて、だからこそ、慎重になる。  国の実情を話したのも、信用を得たと思わせて、防御の皮を一枚でも剥ぐ為だ。  仮に彼が他言したとて、異国からきた彼一人の言葉を信じる人間は、そう多くないだろう。他国とて、知った所で何をするでもないとわかっている。  だから話した。充希にはああ言ったが、俺の首が飛ぶ確率は、"V-2"感染者が生き延びるそれより遥かに低い。
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