ブラックメール

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 やめさせるつもりが、上手く説き伏せられてしまった。  ここで食い下がってでも止めさせなければ、後々苦労すると見えているのに、否定の言葉が出てこない。  おまけに「僕もね、必死なんだよ」と弱々しく笑まれてしまっては、もはや、俺に否を唱える道はなかった。 「……わかりました」  俺は嘆息交じりに肩を落とす。 「上との交渉内容には、充希さんの自由も含まれていましたからね。そういう理由があるのなら、俺もそうとして対応するようにします」 「恩に着るよ、巧人。やはりキミを選んで良かった。……彼の件については、横取りをしてしまってすまなかった」  横取り……? 微かな引っかかりを覚えつつも、俺は須崎と対峙していた場面を思い出していた。  あの時、充希が声をかけてこなければ、きっと彼はまだ生きていただろう。  俺の銃に装填されているのは、対"VC"用の弛緩弾だ。よほど運が悪くない限り、治癒力の高い彼らが致命傷を負う事はなく、輸血と簡単な処置のみで回復する。
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