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まあ、確かにカプセルは好みの味を調達しているけど……。それだって何となくだ。これが"合う"って言ってるのか?
つらつらと疑問を並べ立てつつ、立ったままコーヒーを飲み込んだ俺は、なんとなしに出入口付近の郵便受けへ視線を滑らせた。
「ん?」
「どうした? 巧人」
「あ、いえ。封筒が届いているみたいで……珍しいな」
本部からの郵便物は事前に連絡があった後に、ドローンが届けてくれる。
新たな相談の依頼だろうか?
カップを置きカウンターを回った俺は、郵便受けから茶封筒を取り出した。
切手はおろか、まっさらな封筒には宛先も差出人の名もない。
(……直接入れに来たのか?)
セロハンテープで止められた上部をびりりと破る。中から白い用紙を引き出し、開いた俺は、思わず相貌を細めた。
「その顔は家賃の催促……というワケでもなさそうだな」
「……いっそ家賃の催促なら、良かったんですけどね」
俺は嘆息交じりに、用紙を充希へ向けた。
途端、充希が剣呑な笑みを浮かべる。
「おや、随分と熱烈なラブレターをもらったものだ」
「……勘弁してください」
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