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告げる充希はどうやら高揚しているようで、いつもより鼻息が荒い。
(……そんなに"ホームズごっこ"をしたいのか?)
言われてみれば確かに、日常生活において今回のような手紙が届くなんてケースは、かなり稀だろう。
この任務も長くなってきたからか、俺も感覚が麻痺してきているようだ。
「……まず、大前提として」
俺は背を正した充希の隣に、腰掛ける。
「ウチの事務所の特性上、こうした嫌がらせは珍しくありません。ですが、ここ数年はめっきり減りました。けれども、ゼロではありません」
「苦労をしているな。だが巧人は、そのゼロではない嫌がらせだとは思っていないのだろう? 別の可能性を危惧している。先程の電話で、"タイミング"と言っていたな」
「……今回の吸血事件では、死者が二人出ています。そのどちらかに関わる人物の犯行ならば、これは一種の警告とも捉えられます。随分と恨みをかっているようですから、近々、俺を狙い襲ってくるでしょう」
「だが、どうして巧人が狙われる? 彼を殺したのは僕だ」
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