望まぬ会遇

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「ん? んー、特には。毎日の"輸血"は面倒だけど、元々"はみ出し者"の俺にとって、日常はそう変わんなかったよ。むしろ、なーんもしてねーのに力は強くなったし、足だって速くなっただろ? 体力だって有り余ってっから、あんま寝なくても作曲とか歌の練習とか、バリバリ出来るしさ。そうそう、彼女だって出来たんだぜ? この髪と眼がめちゃくちゃカッコいいんだと。な? 正直、良いこと尽くめ」  にっと歯を見せて笑う須崎からは、"VC"への肯定的な感情しか読み取れない。 「……なら、どうして"吸血"なんてしたんだい? 現状、この国では違法行為だ。おまけにキミは既に、女性を一人死なせている。……禁錮十年は固い。蓮くんだって、知っているだろう?」  発した問いには、二つの理由があった。  一つ目は、"VC"としての生活を謳歌していた彼が、どうして"吸血"行為へ及んだのか知るため。  二つ目は、特異機動隊(なかま)が到着するまでの、時間稼ぎ。  須崎は少しだけ考える素振りをしてから、
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