バーベナの決意

8/22

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
「……警察の方から聞きました。栃内さん、最初の女性を吸血し、逃走中だったあの犯人を呼び止めようとして、噛まれたって。……だから俺は間に合ったんです。こんな言い方は良くないとは思いますが、あそこで栃内さんが足止めしてくださったから、犯人を逃さずに済んだんです。新たな犠牲者を生まずに済んだのは、紛れもなく、栃内さんの勇気のおかげです」  その後の聞き込みで、複数人の目撃者が『止まって……!』と叫ぶ声を聞いたと証言したらしい。  栃内本人も、一人目の被害者の"吸血"現場を目撃し、逃げた彼を追いかけ自分から声をかけたと話していると。  俺が聞いた悲鳴は、栃内の吸血現場を目撃した誰かのものだ。そのおかげで須崎を逃さずに済んだ。  彼女が行動を起こしていなければ、須崎は間違いなく逃亡し、新たな事件を起こしていただろう。  ――生き血を味わった"吸血鬼"は、輸血には戻れない。  刑務所で半強制的に"更生"しなければ、この言葉の通りなのが現実だ。だからこそ、"吸血"を行った"VC"は、一秒でも早く捕らえる必要がある。  ――新たな悲劇を生む前に。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加