バーベナの決意

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 脳裏で本部から送られてきた調査報告書と照会しながら、「……あの、失礼ですが、恋人は……?」と尋ねると、「いません」と綺麗な笑顔が返ってきた。  ……すべて報告書通り。彼女は、随分と俺達に心を開いてくれている。  すかさず「なら何も問題はないじゃないか。やっぱり僕の"アモーレ"に……」と食いつく充希を、「あまり困らせないであげてください」と叱咤する。 「立ち入った事ばかりお聞きしてすみません。仕事上、"VC"化によってご両親や恋人との関係が悪化してしまった方々を、たくさん見てきたもので……。何か、お手伝い出来たらと」 「わかってます。充希さんも野際さんも、悪戯な好奇心で訊いてるんじゃないって、話してて凄く伝わります。……充希さんの言った通り、本当に、お二人に出逢う為に生き残ったみたいです。私」  そう茶化して笑む彼女は、純粋に一人の女性で。だからこそ、今後待ち受ける彼女の苦難を思って、心臓が苦しくなる。  ――吸血鬼。  これから歩む長い人生の中で、何度もそう、呼ばれるのだろう。投薬の代わりに、輸血を日課としているだけなのに。
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