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「聞いてた?さっきの。」
「・・・うん。」
そう答えると奈留は困ったように微笑んだ。
「・・・ねぇ、やっぱり自分のことは自分がよくわかるんだね。」
「え?」
奈留は雨の降る屋上をひらりと歩き出した。
「さっき言ったことは本当だよ?私きっともう長くないんだ。」
「そんなこと・・・!」
断言はできない。
そんな自分が悔しい。
「最近どんどん体調が悪くなってきてるし、学校に来れるのも今日が最後かも。」
「奈留・・・!」
「ちなみに!さっき言ってた“心に決めてる人”はー・・・はるくんでした!」
奈留は頬を染めてはにかんだ。
「死ぬ前に伝えられてよかった・・・。これでもう未練はないかな。あとはテーマパークくらい?」
「テーマパーク・・・?」
「そう!この街の外に新しくできたって噂のテーマパーク!一度でいいから行ってみたかったかな。」
奈留はそう言うと柵に向かって走り出した。
「おーーーーーい!!爆弾めーーーーー!!!この街は、お前なんかに負けないぞーーーーー!!!」
奈留は振り向いて「なんちゃってね。」と笑った。
その笑顔をみた瞬間、僕の身体は無意識に動き出していた。
「はる、くん・・・?」
「ごめん、ごめん奈留!!」
僕は奈留を抱きしめて泣いていた。
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