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「なんではるくんが謝るのー。」
奈留は笑いながら僕の背を撫でる。
「そんなに体調が悪かったなんて知らなかった・・・。学校に来れるのも、今日が最後かもなんて・・・!」
「あはは、はるくん泣いてるの?」
「・・・泣いてない。雨だよ。」
「・・・うれしい。」
奈留の顔を見ると、顔も目も真っ赤だった。
「・・・奈留も雨?」
「あはは、私のは目薬かもね!」
「そんなに大量の目薬なんてないよ。」
改めて奈留を抱きしめると、僕は言った。
「――奈留。二人で行こう。テーマパーク。明日。」
「・・・え?」
「街から出る方法は僕がなんとか考えておくから、奈留は今日にうちにテーマパークに行く準備しといて。」
「はるくん・・・!」
「明日の朝9時に奈留の家に迎えにいくから。」
「だめだよ・・・!はるくん!!」
僕はさらに強く奈留を抱きしめる。
これ以上否定はさせないように。
「はるくん・・・。」
「他の人のことなんかどうでもいいよ。奈留が行きたがってるんだ。行く理由なんてそれで充分でしょ。」
「・・・はるくん。ありがとう。」
――次の瞬間、唇に柔らかい感覚を感じた。
「―――!!」
「・・・えへへ。ごめん。私の初めて、押し付けちゃった。」
「な、奈留のなら大歓迎だよ!」
「そ、そっか・・・。」
お互いに顔を真っ赤にしていると、また奈留が咳こみだした。
「げほっ、げほっ!!」
「!奈留!」
「大丈夫大丈夫!ちょっとむせただけだから!ね?」
「奈留・・・。」
もしかしたら本当にその時が近いのかもしれない。
もしもそうだったら僕は・・・。
ぎゅうっと奈留を抱きしめる。
「わ!・・・はるくんは甘えんぼだなぁ」
「・・・奈留、絶対テーマパーク行こう。死ぬほど楽しもう。」
「うん・・・。はるくん、大好き。」
そうして今度は僕からキスをした。
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