<プロポーズ>

6/6
前へ
/89ページ
次へ
竜基side 亜由美が先に帰省して今までの話をしておきたいとうことで、今夜は一人だ。 昔は恋人も煩わしいと思った事もあったが、今は亜由美がいないこの部屋は寒く寂しい気持ちがする。 完全に亜由美にハマっている。 今までは、会社がらみでの付き合いで相手の親を知っている事があったり、軽い付き合いの場合は特にお互いの両親を紹介することもなかったから乗り込んだ新幹線が秋田に近づいて行くごとに緊張感が増していく。 亜由美の実家のあるある駅からスマホの地図を見ながら歩いていると前方に見覚えのある人がいて慌ててその人の元に向かう。 「亜由美に何か用事でも?」 声を掛けると、亜由美は助けを求めるように俺に抱きついてきた。 どうやら、目の前にいる男は亜由美にトラウマを植え付けた相手のようだ。 トラウマを克服するのは本人にしかできないし、その原因にきちんと向き合わなければいけないからまずは二人で話をさせて、何かあれば俺が話をすればいいし、昼間の道端で何かあるとも思えないから俺は近くの本屋で亜由美を待つことにした。 話をして戻ってきた亜由美は随分とスッキリした表情をしていたから、一歩進むことができたんだろう。 ご両親への挨拶は凄く緊張したが、亜由美の父親が俺の為にと地酒を用意し好意的に対応してくれたがそれ故に亜由美を大切に幸せにしなければと改めて思う。 亜由美の部屋は高校を卒業した時のままにしてあるということで可愛らしい部屋で俺がすごく異質なものに思えたが、そんな場所でプロポーズをした。 大学生活を邪魔しないとはいえ今の亜由美はコバエホイホイ的な魅力があるから、普段でも付けられそうなデザインを選んだ。 指輪をはめた亜由美が可愛くて抱きた潰したい衝動にかられたが、この下には両親がいる、フルパワーの自制心で押さえた。 亜由美の父親に駅まで送ってもらうと稲庭うどんの有名なお店でランチを食べてから地酒を多く扱う酒店へ行きテイスティングと購入をした。 「私もお酒に関する仕事がしたい」 そう言った亜由美を俺はいくらでも応援して力になるつもりだ。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加