<プロポーズ>

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結局ビールを買えず二人並んで家に帰ってきた。 「初めまして長友竜基と申します」 流石に、私が手ぶらな上に一緒に戻ってきたことに若干驚きというかあせり気味のお母さんに竜基さんが挨拶をした。 「亜由美がお世話になってます。どうぞ」 と言ってリビングに案内するもお父さんが居ない。 竜基さんにソファに座ってもらった後、キッチンでお茶を入れているお母さんのところに行き、お父さんはどうしたのかを小声で聞くとまだ散歩から帰っていないということだ。 「逃亡?」 お母さんはクスッと笑って 「心の準備が必要なんでしょう」 「結婚の話じゃないのに?」 昨日のうちに上野慎一の告白ゲームのことは濁しつつ乃乃絡みの事件について話をしている。 「もうすぐ帰ってくるでしょ。それよりも、なんで手ぶらなの?」 「色々あって、後でもう一度行ってくる」 「頃合いを見て私が買ってくるらまずはお茶をお出ししなさい」 そうだった、慌ててリビングのソファに座っている竜基さんにお茶を出したときにお父さんがかちゃかちゃと音を立てながら帰ってきた。 挨拶を済ませたあと、お父さんが先ほどかちゃかちゃと音を立てて持ち帰ってきた保冷バッグを開けるとなから4種類の地酒が出てきた。 「長友さんがお酒関係のお仕事だと亜由美から昨日伺って日本酒を趣味にしている友人から珍しいものを譲ってもらってきました」 竜基さんは銘柄を見ながらお父さんと楽しそうに話を始めたので、料理とぐい呑みを準備した。 あんなに緊張していたのに、思いのほか和やかでほっとした。 「そういえば学校で色々あったそうで、親なのに全く知らず長友さんには随分とお世話になってしまって。ありがとうございました」 おもむろにお父さんが頭を下げた。 本当は私がちゃんと両親に話すべきだったのに、心配をかけたくなくて内緒にしたけどむしろきちんと話すべきだった。 「いえ、わたしがもっと早くお話をするべきでした。それから、本日伺ったのはご両親に承諾していただきたいことがあって伺いました」 この事も、お父さんは早くに寝てしまったがお母さんとは結構話し合った。 だから、二人の表情がピリッとなった。 「結婚を前提として一緒に暮らしたいと思ってます。もちろん、結婚は大学を卒業してからになりますが、亜由美さんが卒業後にやりたいことを制限するつもりもありません。ただ、この先お互いの目指すもの見ているものが違ったとしても隣にいて欲しいと思ってますそのために二人で一緒に暮らしていきたいと思ってます」 竜基さんはそういうと私の両親に向かって深く頭を下げてから 「どうか、二人で一緒に暮らすことをお許しください」 お母さんが膝の上で硬く手を握っているお父さんの手に自分の手を重ねた。 「亜由美はもう決めているんだろう」 竜基さんがそこまでの未来を見越してくれいたことは驚いたし嬉しいし、竜基さんが言う隣に居たい。 「竜基さんと暮らしたいし、この先もずっと一緒に居たい」 お父さんは一つため息をついてから 「それならわたしが何を言っても無駄だろう。長友さん亜由美はまだまだ世間知らずです、どうかこの先の人生を正しくそして幸せに導いてください」 「はい全力で幸せにします」 このあとお父さんと竜基さんはなにげに意気投合してお酒を飲んだ為、竜基さんはホテルを取ると言っていたが結局家に泊まる事になった。
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