<初めての告白は変わる為の儀式>

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「おはようございます」 挨拶をして厨房に入るとスタッフが一度私を見た後に頭を傾げている。 週三回アルバイトをしている居酒屋憩家(いこいや)のキッチンで盛り付けや片付けをしていて、いつもなら指示がすぐに入るのに空気がおかしい。 「今日からの新人さん?」 いつもは塩対応で冷たい口調のチーフが優しげに声をかけてきた。 「おはようございます。松下です」 キッチンの人たちが二度見してきた。 「え?松下さん?」 「はい」 「あっ、そう、えーっとじゃあ野菜を」 「わかりました」と言って、じゃがいもの皮を剥き始めると、なんとなくチラチラと見られている気がする。 制服を着ているから、いつもとの違いは髪型と下着だ。 下着効果?? そのうち店は忙しくなり視線を気にする事なく午後11時になった。 「お先に失礼します」 トイレ掃除をしてから着替えをして裏口から出ようとすると大学四年でバイト歴も私よりも長い橘先輩が走ってきた。 「松下さん、あの髪型」 「え?」 「あっ、いやお疲れ様」 「はい、お先に失礼します」 頭を下げて外に出ると竜基さんが待っている大通りに向けて歩き出した。 そういえば、橘先輩はチーフや他のスタッフのように私に対して威圧的な態度や馬鹿にしたような態度を取ることがない人でこのバイト先で唯一優しく接してくれる人だ。 大学を卒業すればこのバイトも辞めるだろうから、少し寂しくなるだろうな。
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