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口にタオル突っ込まれてるし、息が出来なくてバタバタと男は馬鹿みたいに畳を鳴らす。
「何したの?」
「一通り、ネットで見て鬼畜だと思うのは全部」
「Google頼みかよ」
「グロいのは抜いたけど」
「抜いたの?これで?」
「それはほとんど千冬がやった。喧嘩馬鹿は手加減無いから」
だから千冬は、取り敢えず落ち着いてる訳ね。
右手はグロい事になってるけど。…伊澄も。
「手が痛い。ムカつく」
「それは自分のせいね」
ゲシっと八つ当たりで男を蹴る伊澄の傍らで、意識を失いかけた男の鼻を離した。ぶはっと、鼻息だけで荒く呼吸を繰り返す馬鹿な男の目を、覆う布を外す。
視界が開けた途端、俺を見つけて怯えた目を向ける男に、にっこりと微笑んだ。
「利き腕どっち?」
「…はっ、あっ、」
「喘ぎ声聞いてんじゃないんだけど。ハルヒを殴った手がどっちか聞いてんの」
笑ってんのに、俺を見るその顔は恐怖に歪んで。
アルコール臭いおっさんの顔は酔いで赤く染まっていて、それでいて顔中の殴られた痕が、崩れた表情と共に血を滲ませる。
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