温泉旅行2

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「利き腕聞いてどうすんだよ」 「折るか切る。要らないでしょ、女の子を平気で殴る悪い手は」 「おんっ…、女?俺が殴ったのはおと、」 「女だよ。死ねよハゲ」 ぐっと、伊澄がおっさんの喉を掴む。 ギリギリと強い力で捻り上げる手を、数秒待ってから掴んで止める。 「取り敢えずハルヒを男だと思った腐った目と汚い口、悪い腕は必要無いからどうにかしないとね」 「お前が一番鬼畜」 「何?千冬」 「別に。俺は隣のピンクも殴り殺したいけど」 「止めときなよ。今突入しても嫌われるだけだよ」 媚薬か酒か分からないけど、ハルヒの声が熱を帯びてるのは分かる。だから行けない。今行っても助けた事にならない。邪魔者で、わざわざ傷付きに行くようなもんだ。 …… …蓮も、ハルヒに嫌われれば良い。 唯一ハルヒに手を出してなくて、のらりくらりと過ごしていた蓮が堕ちた時、やっとで俺等と同じ位置に立つ。 自業自得だけど、手を出して無いって理由で蓮だけ好かれるのは面白く無かったから。 …俺は聖みたいに綺麗じゃない。 汚れてるから、ヒーローにはなれない。 でも、 汚れた手でも、間違ったやり方でも、 今ならハルヒを守ることが出来る。 俺のやり方で、 「じゃあおっさん、まずは目から始めようか」 ―――
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