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答えは変わらないのに、
根本的な問題を自分じゃ解決できない。
「ハル、起きて」
「……」
「起きて俺を見てよ」
全く魅力を感じなかった女の子が、影で俺の事を守ってくれて、笑ってくれて、俺のために怒ってくれて。たった数日でこんなにハルを必要としてる。
ハルと会う前の自分を覚えてない。
どうやって息をしてたのか、どうやって笑えてたのか、何に対して苦しくなったのか、何も。
感情の中心にハルが居て、
ハルの存在に今は動かされてる。
だらんと落ちたハルの手を掴み、俺の胸に当てた。そのままするっと肌を滑らせて腰に回す。
横向きで眠るハルの首筋に、顔を…
「伊澄」
名前を呼ばれて顔を上げた。
襖に肩を寄せ腕を組んで立つ愁が、目を細めて不敵に笑う。「今、手出したら伊澄も同じだけど」って。緩んだ顔で、本気の言葉を吐き出す。
「疲れてるから寝させてあげて。こっちで花音が持ってきた人生ゲームでもして遊ぼうよ」
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