温泉旅行3

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くつっと、痛みに顔を歪めたまま綺麗に笑って、 「だから割とマジでさぁ、」 「……」 「ハルヒは俺が落とすから黙って見ててって話。宜しくね」 最後の一文だけ、目の色とトーンを変えた。 所詮遊んでるだけだと思っていた蓮が本気でハルヒを落としに行っていると分かった時、漸く三人が今の状況を理解した。 生唾を飲む三人に、 蓮は再び額をテーブルにくっつけて苦痛に笑う。 「マジで痛い…数時間再起不能」と。 「一生不能のまま死ね」 「無理だよぉー、ハルちんと子供作んなきゃいけないし。あ、俺は三人欲しいかなぁ、全員女の子」 千冬の辛辣な言葉も、とんでもない発言で笑って流す。 「蓮さぁ、」 「俺だって好きだよ。お前等にはやらない」 伊澄の声に、蓮に向いていた視線が反転した。 テーブルに額をくっつけたままの蓮も、前髪に癖を付け、顔を傾けて伊澄を見上げる。ピンク髪が掛かる耳から、相反する黒いピアスが覗いてる。 「言ったら汚れるんじゃ無かったの?」 「言わなきゃお前等分かんないだろ。一応牽制のつもりだから、二度と言わない」 「良いんじゃない?バチバチして」 蓮はこの状況を、逆に楽しむ。 基本口数の少ない千冬は座椅子に背を預けたまま腕を組んで、天井を仰いだ。「面倒臭っ」て一言呟いて、今度は頭を下に倒す。 「ま、帰ったらもっとバチバチするけどねぇー‥」 ルーレットを回した愁が、止まる前にそれを止めた。 出た目の6までカートを進め、静かに笑う。 「ハルヒの幼馴染みが帰ってくるんだって。俺等がした事バレたら、全員殺されるかもね」 ―――
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