399人が本棚に入れています
本棚に追加
「化粧と髪やらせてっ!雰囲気変えて皆んなをビックリさせようよっ!!」
気付くかなぁ~と、まだ何も言ってないのに左腕を取られて、そのまま右隣の椿の間に誘導される。
男四人が畳を埋めて、テーブルに人生ゲームが散らかった百合の間と違って、部屋に来てから手付かずって程に綺麗に整頓された椿の間。
花音に連れられて上がった私は、
「こっちこっち!」と座椅子に座る。
鞄からスムーズに鏡やポーチを取り出す花音。
さっきまで眠たそうにしてたのに今はすっかり目が冴えていて、いつも通りのくりくりの瞳で私の背後に膝立ちする。
鏡を見たら、こめかみの所が青くなってるのが見えた。
…ヤバい。
バレたら絶対何か聞かれる。(花音含めた五人に)
酔っぱらいには絡まないって豪語した癖に絡んで殴られたとか、バレたら絶対に怒られる。
(※もうバレてる)
「あれ?ハルちゃん顔のとこどうしたの?青くなってるし、口も切れてるけど…」
「…ボーッとしてたらぶつけて」
「え、何処に?」
「温泉で。壁にドーンと」
「そうなんだ…、大丈夫?」
ごめん、花音。
騙されてくれてありがとう。
「隠せますか?」
「完全には無理だけど、コンシーラーで多少は隠せると思うよ。あ、あとウィッグがあるんだった!ちょっと待ってね」
最初のコメントを投稿しよう!