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袖から覗いた腕も、癖付いた黒髪も、
前髪の下で見え隠れする綺麗な瞳も。
刺激が強くて身を引いたら、そんな私を見て千冬はくつっと喉で笑う。
「お前さぁ、俺がアイドルになったらどう思う?」
…アイドル?
は???
「急になんですか」
「そういうの好き?」
「好き以前に千冬には似合いませんよ。笑顔振り撒いて踊るとか、絶対無理じゃないですか」
急にどうしたんだ。
ニコチンで遂に頭がやられたか…?
と、すっと窓の外に向いた横顔が膨れるから、今度は苦笑いが溢れる。
「何を言って欲しかったんですか」
「別に。だったら何が好きな訳?」
「何が?」
「職種的な。どういうのが好みなんだよ」
「好みとかありませんよ…、千冬がなりたい職に就けば良いじゃないですか」
「じゃあ、警察官」
…嘘だ。
だったらまず自己を改めて、未成年の煙草を止めなさい。
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