温泉旅行3

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袖から覗いた腕も、癖付いた黒髪も、 前髪の下で見え隠れする綺麗な瞳も。 刺激が強くて身を引いたら、そんな私を見て千冬はくつっと喉で笑う。 「お前さぁ、俺がアイドルになったらどう思う?」 …アイドル? は??? 「急になんですか」 「そういうの好き?」 「好き以前に千冬には似合いませんよ。笑顔振り撒いて踊るとか、絶対無理じゃないですか」 急にどうしたんだ。 ニコチンで遂に頭がやられたか…? と、すっと窓の外に向いた横顔が膨れるから、今度は苦笑いが溢れる。 「何を言って欲しかったんですか」 「別に。だったら何が好きな訳?」 「何が?」 「職種的な。どういうのが好みなんだよ」 「好みとかありませんよ…、千冬がなりたい職に就けば良いじゃないですか」 「じゃあ、警察官」 …嘘だ。 だったらまず自己を改めて、未成年の煙草を止めなさい。
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