温泉旅行3

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「最近ハルヒの回りから色々無くなってるでしょ。気を付けなよ、女の子はなんでも欲しがるから」 え、 「なんの話ですか?」 「三年の女子が喋ってたよ。ハルちんの鉛筆片手に家宝にする~って。ハルちんと接点無さそうだったし、盗まれたのかなぁと思って」 愁に言われた言葉に蓮も乗っかって、誰も反応しない所を見ると知らなかったのは私だけらしい。…というか経験者っぽくて、 「ペンとか消しゴム好きだよね。たまに消えた消しゴムが帰ってきたと思ったら、知らない女の名前買いてあったりするし」 …え、こわっ!! 「あるあるだよね~」 「あるある~っ」 「花音もあるんですか?」 「あるよぉ。引き出しに大量に消しゴム入ってた事もあって、なんの恵みかと思ったよ」   「ウケるよねぇ」って、目元を崩してケタケタと花音は笑うけど全然ウケない、笑えない。 ラブレターならぬケシゴムーって。有り難いけど使えないし、めっちゃ処理に困るじゃん。 「いつかハルちんも経験するかもね」と恐ろしい事を言われて、私は蓮とこんなくだらない話をしてる場合じゃないと頭の中は冷静なのに、目が合えばすっとその背は離れる。 ちゃんと謝りたいのに、二人になるタイミングが無い。 バイキングの時も蓮を追い掛けたのに気付いたら誰かが横に居て、「ん?何か用事?」「いえ…、何も」と話すタイミングを完全に失ってしまった。
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