温泉旅行3

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ぐりぐりと胸元を押して、 踏ん張った足で、必死に背の方へ身体を引く。 だからって男の力に敵う筈もなく、するすると唇の平を弄ぶ舌が、離れたと思ったら私の瞼にキスを落とした。 「ッッー!!」 咄嗟に目を閉じて、 蓮の顔が離れたのを確認して、恐る恐る目を開く。 パニックの頭で考えられる事なんて何も無い。何も出来ない私の耳に顔が寄って、「冗談抜きのマジだから」と。 いつもの口調に本気を乗せた声が吹き込まれ。 するっと衣が擦れ、身体が離れる。 「間一髪」 蓮が言葉を落としたと同時に、部屋の扉が開いた。振り返った私を見て、伊澄がどっと空気を冷やす。 「こんな(とこ)で何してんの?」 「なぁんも。ハルちんと話してただけ」 「……。ハル、大丈夫?」 「大丈夫、です。部屋の片付けしますね、」 座敷に上がる時、傍らから投げ込まれる伊澄のバッグ。 慌てて机に散らばった人生ゲームを片付ける私の傍らに膝を付き、伊澄も片付けを手伝ってくれる。 …めっちゃ棒人形が刺されたカートが一台。 ‥なんだこれ。どれだけ"おめでた"に止まったら、こんな事になるんだ‥。 串刺しになったそれを、手のひらに乗せる。 「どうしたの?」 「…凄い人が乗ったの見つけた」 「それハルだよ」 「……え、」 「運転席は俺。後ろは子供。理想は六人」 「……え?」 「俺の理想」 もう、意味が分からない… ―――
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