変わらないもの/変えたいもの

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「今日は帰るわ。じゃあな、」 含んだ言い方でわざとらしく言葉を和らげた千冬は、私から鞄を受け取って離れて行く。 数歩進んで足を止め、振り返る。 黒髪の下から半分覗かせた顔が、瞳が、 「また明日」 すっと上がった口元が。 ムカつくけどやっぱりカッコ良くて、目が止まる。 「ハルヒー、行くよ」 「…はい」 家が反対方向の蓮、花音、千冬は先に降りて。家まで送ってくれると言った伊澄も、今日は夕方から外せない用事があるらしく榊さんに止められた。 榊さんを睨む伊澄に、 逆に私は榊さんに目を細められて。 苦笑いを溢すしか出来ない。 最近、愛想笑いばかりしてる気がする…。 「気を付けて帰ってね」 「伊澄も。榊さんもお気を付けて」 「ありがとうございます」 「愁に何かされそうになったら思いっきり蹴りなよ」 「いずみー、何言ってんの」 「思いっきり。潰す勢いで良いから」 そんなマジ顔で言われても… 苦笑いを溢す愁を見て、伊澄を見れば冷たい顔。温度の違いに笑いが溢れる。
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