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ガラガラ‥
「何してんの?」
ー!??
ビックリして後ろに振り返ったら、
帰った筈の愁が居た。
「何してるんですか?」
「俺が聞いたんだよ。何してんの?」
「…布団を片付けようと」
「安静にって言われたんじゃないの?」
さっそく無理してんじゃん、と普通にベランダに出てきた愁は、外に干していた私が掴んだばかりの布団を引き上げる。
その姿を見て数秒固まるけど、、違う違う。
「いや、何してるんですか?」
「ハルヒの代わりに布団片付けてる」
「そういう事じゃなくて、」
ばさりと音をたてて、布団が室内に投げ込まれた。
手軽になった愁は体を翻すと、蜂蜜色の髪を真っ暗な夜空に映し、優しく目を細めて私を見下ろす。
「無理しないの」
「左手は使わないようにしてるので、問題ありません」
「そうじゃなくて」
"無理すんな"
高さを成した左手が、指の甲で下瞼に触れた。
少ししか泣いてないし、泣いていた事はバレていない筈なのに、まるでそこを労る様に頬を包まれ、親指の平がすっと撫でるから堪らず目を見張る。
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