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「食えよ、適当に買ってきた」
「…千冬が買ってきたんですか?」
弁当を買えたのか?
お店で買い物する方法を、知ってたのか‥?
「コンビニのだけど。ほら、」
振り返り、割り箸を持った手を伸ばされるけど首を横に振る。せっかく買ってきて貰って申し訳無いけど、気持ち悪いし食欲もない。
そんな私を見て、半分振り返るだけだった身体がゆらりとこっちに向いた。
背丈のある千冬が悠々とベッドサイドに肘を付いて、伸ばした手で私の額を覆う。
さっきと同じ。
少し低い位置から、幅の広い切れ長の二重瞼を覗かせて、今は冷たさを感じさせない瞳が、真っ直ぐ私を捕らえている。
さっきまでの情事を思い出して目を逸らしたくなる私を他所に、「気分悪ぃ?」と。
「……少し」
「悪ぃ、ヤり過ぎた」
「……」
「まだ寝とけよ。必要な事あれば俺がやる」
……
パチパチと瞬きをする私に、「何だよ」と。
少し不機嫌さを孕んだ目が向けられるけど、この反応になるのは理解して欲しい。
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