読めない奴

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それは千冬に限った話じゃない。 いくら恋愛感情で好きだと言われても、彼等には"順を踏む"って最低限の事が頭に無い。 小さな子供よりも"欲"に素直に従う彼等は、私がもつ常識と大きくかけ離れていて。 それに呆れる反面、一緒に居るなら少しは理解しなければと思うようにもなっていた。 部屋に来る度に何かしらアクションを起こしていたこの人(千冬)の事も。最近は防ぐ事が出来てたけど、それも永遠に続くものじゃないと心の何処かでは分かっていて。 だから別に、今に始まった事じゃない。 腹は立つし、ムカつくし、常識は無いし、もっと人の事を考えろとは思うけど、自由気儘な千冬という人間に対し、固かった私の頭も少しは柔軟に考えられるようになってきたんだと思う。 ……こんな事に、柔軟さは使いたくい。 勿論、無い方が百倍有り難いけど。 「…今に始まった事じゃ無い癖に、」 「まぁそうなんだけど。好きな子に嫌われる程、辛い事ってねぇじゃん?」 …どの口が喋ってるんだ。 普段と口調が逆転して、口が悪い私を宥める様な柔らかい口調で、頭を後ろに倒した千冬が後ろに居る私を見る。 いつもと形を変えた目で、 鋭さを無くした、甘さと強さを併せ持った瞳で、ゆるりと綺麗に笑って魅せる。
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