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「志田っち暇そうじゃん。今から皆でサッカーやるから志田っちもやろうぜっ」
サッカー‥?
運動祭の練習じゃなくて?
「リレーしてたんじゃないの?」
「飽きた。走るだけじゃつまんねぇし」
「そっ、か」
…飽きちゃ駄目でしょうが。
戯れだけで、マジで練習する気無いな。
呆れ笑いを溢す私を見て、彼はこてんと頭を後ろに倒す。少し汗を滲ませた髪を後ろに流し、不思議そうに目を合わせ。
「つか志田っちってさぁ、前から思ってたけど男っぽくねぇよなぁ。喉仏もあんま出て無ぇし、声低くないし、性格も気弱っつーか肩幅とか狭ぇし」
「…え、そう?」
「んー、顔はイケてるけど、良く見れば女でも全然イケんじゃん?」
‥それは、女だからね。
寧ろ男でしかいけなかったら相当ショックだよ。
苦笑いを溢したら、そんな私を見て彼はニッと無邪気に笑う。そして私の肩に腕を回し、ぐいっと身体を引き寄せた。
思いっきり寄せられた体に、鼻先目掛けて顔を寄せてくるから、滅茶苦茶距離が近い。
彼等以外に此処までテリトリーを迫られたのは初めてで、ビックリして目が丸くなる。と、目の前の彼はニッと笑う。
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