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「ははっ、やっぱ華奢じゃん。もっと肉食わねぇとモヤシになって萎れるぞっ」
右手で覆うように掴まれていた肩を離され、安堵した途端に今度は背中をバシバシと叩かれる。
「ぐふっ、」
勢いの余り前につんのめった。
やめて…、朝ごはん全部出てきそう‥。
数週間前に誰かからモヤシ発言をされた記憶はあるけど、今はそれどころじゃないから無視する。
「けほっ」と咳き込み、
上体が倒れたまま彼のジャージの胸元を確認して。
「南君、力強いって」
「拓真で良いって、タメなんだし」
「じゃあ拓真。背中痛い‥」
「こんなんで痛いとか言ってたら骨が折れるぜぇ、モヤシハルヒ」
…呼び方がハルヒになってる。
別に良いんだけど、背中叩くのは止めて?手形付くよ?
漸く叩く動作が止まったと思ったら、再び肩を掴んだ手にぐいっと引き寄せられて距離が埋まる。
耳に吐息が掛かる程顔が寄って、ケタケタと笑う拓真の声が鼓膜に響く。
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