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「手、邪魔なんだけど、ハルが汚れるからさっさと離してくんない?それとも俺が肩から引き抜けば良い?胸糞悪いお前の腕」
「やっ、止めろって!噂通り怖ぇよアンタ!!」
「……」
伊澄に掴まれた手を乱暴に振り払い、声を荒げる拓真。反して伊澄は涼しい顔をして、目だけを冷たく細め返す。
文句があるならさっさと言えば?
的な、睨んでる訳じゃ無いのに無言の眼圧。
ふんっと顔を逸らした拓真は、悔しそうに唇を一噛みした後、この場から走り去る。
グラウンドでは無く校舎の中へ。元気は有り余ってるみたいだけど、サッカーをする気は完全に失せてしまったようだ。
背中が見えなくなってから、
声を漏らさないように息を吐いた。
伊澄を見ればまだ拓真が消えていった方を見ていて、酷く冷たい空気を放っている。
「伊澄は圧倒的に言葉足らずだよ…?」
「そんな事ねぇよ」
「こんな所で何してるの?」
「ハルが本当に練習してるか確認しに来た」
…それは、伊澄からの誘いを『運動祭の練習』と断っていたからだろうか。別に確認しなくても練習はしてる。今は少しサボってたけど、さっきまでちゃんとやってた。
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