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「自習だから教室行く必要無いっしょ?部屋でやんなよ。分かんないとこあれば俺が教えるし」
「……」
…申し訳無いけど。
本当に申し訳無いけど、蓮って馬鹿だよね?
絶対学力無いよね?
「あ、今失礼な事考えた?」
「考えてません」
「取り敢えず来なよ、鞄は俺が先に部屋運んどくから」
「困りま、」
「良いじゃん。自習なんだから部屋でやれば」
「それは只のサボりでは?」
「教室に居たって勉強しなきゃサボりじゃん。部屋違っても勉強すれば、サボりじゃ無くない?」
「……」
…ど正論ぽく伊澄に諭され、口潜る。
それもそうだけど、と流されそうになり、そもそも教室に居なきゃ駄目でしょ、と頭が否定して。
「さっきの男がまたハルに触ったら、鉛筆で眼球刺すと思う」
冷ややかな瞳で恐ろしい事を言われれば、ゾワっと全身に悪寒が走った。…この男は、マジでやる。手首を掴まれて、身体を引かれ校内へと向かう。
渡り廊下に蓮はもう居なくて、
校内からは未だ複数人の視線が向けられていた。
「伊澄、手離し‥」
「見られて困る事はしてない」
人に注目されるの嫌いな癖に、離す気は無いらしい。
手首をきりっと掴まれたまま、
五階の部屋へと向かった。
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