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そういえば昨日コップを洗ってくれた時も、愁は普段やってない人とは思えないくらいに慣れた手付きだった。然り気無く布団の用意も手伝ってくれたし、洗面所も汚さなかったし。
※千冬は歯を磨くと、五分で汚す
※千冬は顔を洗うと、一分で汚す
疑問に思って首を傾げる。
「独り暮らしなんですか?」
冷蔵庫を開いて楽しそうに「んー」と考える素振りを見せながら、視線を上から下へと流す愁。
「普段は。家は近いけど人が多くて疲れるから、あんま帰りたく無いんだよね」
…千冬も同じような事、言ってたな。
家に家族以外の人が多いって感覚が、ある意味凄い。
「双子の妹が居るんですよね?」
「覚えてたんだ。聞き流されたかと思った」
「愁が面倒見てるんですか?」
「まさか。週末家に帰った時だけ。年離れてるし、懐いてくれてて可愛いけどベッタリはちょっとね。冷凍ライスと卵と野菜適当に使って良い?」
「…どうぞ」
「どうも」
バタバタと冷蔵庫の上を開いたり、下を開いたり。目についた食材を取り出す姿は本当に慣れてる。
開いた野菜庫を足で閉じる姿も、素が出てる。
節々で雑な感じがいつもの愁と少し違うけど、なんというか、いつもよりもその仕草が人間っぽく見えた。
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