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音と共に良い香りが漂ってきて、「もう出来るよ」と。愁の言葉を合図に教科書とノートを片付け立ち上がる。
フライパンには美味しそうな炒飯。
洗い片付けもちゃんとしてある。
お湯を入れるだけの即席わかめスープを準備して、お皿に盛り付けてテーブルに運ぶ。(愁が)
私は何もさせて貰えない。お皿も重たいから持ったら駄目と、唯一スプーンを持たされて座った。
(…私はこの人のバイトだったよね?)
「美味しそうですね」
スプーンで食べられる炒飯。
怪我をしたのは利き腕じゃないにしても、そこまで考えて作ってくれたんだとしたら‥、
「ん?」
正面に腰を下ろしてスプーンを持った愁と目が合い、小さく頭を下げる。
「色々ありがとうございます」
「冷めない内に食べて」
一口食べれば普通に美味しい。
お米パラパラだし、味付け完璧だし。
カチャっとスプーンがお皿を鳴らし、同じようにチャーハンを口に運ぶ愁の姿を眺める。
「…そこまで重傷じゃ無いですからね」
「"絶対安静"は重傷だよ」
「安静にって言われただけで、そこまで重篤な言われ方してません」
「俺が絶対安静って決めたの」
「……」
「ハルヒは自分の事は何も言わないし、心開いてくれないし。俺等に警戒するのは分かるけど、俺に対してはもう少し気楽に接して良いから」
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