婚前交渉

8/10
前へ
/187ページ
次へ
「俺だって君を妊娠させたくない…本来なら、婚前交渉もいけないと思うが…いざ結婚して…上手くいかないのはもっと困るから…今の間に練習しておこうかと思って…香澄が嫌なら…しないけど…」 「侑吾さん…私も練習しないです…」 「香澄…そっか…じゃ練習はじめるぞ」 彼は嬉しいそうに言い放った。 そして、ネクタイを振りほどき、シャツを脱ぎ始めた。 ほの暗い照明の中で見る彼の半裸姿。 女性の柔らかそうな体つきとは違い、がっちりとした肩幅、逞しく厚い胸板、程よい筋肉質な彼の体つきに目を瞠った。 今度はベットの上で私のカラダを組み敷いた。 私のカラダは彼の大きなカラダに包み込まれていた。 「怖くないか?」 「あ、はい」 彼は私を優しく熱い瞳で見つめていた。 そんな彼を怖がるキモチなどない。 ―――彼にならすべてを捧げられる。 「愛してるよ…香澄」 彼の甘い囁きが鼓膜の奥を擽る。 今日が私と彼の記念日。 ――――共に処女と童貞を失う。 私は彼の言葉に応えるように目を瞑った。 塞がれた唇。 濃密なキスを交わして彼が私の衣服に手をかけた。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

905人が本棚に入れています
本棚に追加