ブライダルチェック

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『パイロット』本社・社長室。 私は内線で父に呼び出された。 「失礼します」 「辻教授…娘の香澄です」 私が社長に入ると応接ソファには見知らぬ男性は座っていた。 年齢は父と同世代。 「紹介する…辻教授は『東亜医科大付属病院』の産婦人科医を務めている。 産婦人科分野で有名なドクターだ」 『東亜医科大付属病院』 槇村さんは勤務する病院だ。 「初めまして…娘の香澄です」 「私の隣に座りなさい…」 「はい」 父の隣に腰を下ろした。 「平沢家のご当主・タミ様から連絡を頂いた」 「ブライダルチェックの件ですか?」 「そうだ…」 「それなら…侑吾さんのお友達の産婦人科医の先生に今相談しております」 「平沢副社長のお友達?」 「あ、はい…『東亜医科大付属病院』で産婦人科医として勤務していおります…槇村先生です」 「・・・あ…私の下で働いている…槇村先生ですか…よーく知っています…我が医局のエースですから…」 「・・・それは既にアポを取ったのか?香澄」 「はい…」 「では…キャンセルなさい」 「!?」 「香澄お前は辻教授のブライダルチェックを受けるんだ…」 「どちらにしても…『東亜医科大付属病院』で受診するのは同じですが…」 「同じかもしれませんが…」 「・・・まぁー…香澄様がキャンセルしなくても…この私が槇村先生の方に伝えればいい事です…」 「忙しい辻教授にそんな事はさせられません…香澄お前がキチンとキャンセルしておくんだ。いいなっ」 父は声を荒立て私に言った。 「承知しました…」
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