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私は仕事を終え、その足で『東亜医科大付属病院』に向かった。
産婦人科フロアを訊ねた。
「あの…」
私はナーステーションに居る一人の若い看護師に声を掛けた。
「槇村先生を呼んでいただけますか?」
「槇村先生は今…分娩中ですが…貴方は?」
「私は花京院香澄と申します…」
「花京院さん??」
白衣を着た若い女性医師が私に声を掛けて来た。
ツヤのある長い髪を後ろで束ね、目鼻立ちのはっきりとした美しい人だった。
「鹿沼乃絵(カヌマノエ)光の従姉…光から訊いてるわ…ブライダルチェックの件ね」
「え、あ」
「光から何も訊いてないの?
従姉の私も産婦人科医なの…光から貴方の検査頼まれてるの…」
槇村さんが私の担当医ではないよう。
そりゃ、検査とは言え、彼に局部を見られるのは恥ずかしいと思ったけど。
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