ブライダルチェック

3/7
前へ
/187ページ
次へ
私は仕事を終え、その足で『東亜医科大付属病院』に向かった。 産婦人科フロアを訊ねた。 「あの…」 私はナーステーションに居る一人の若い看護師に声を掛けた。 「槇村先生を呼んでいただけますか?」 「槇村先生は今…分娩中ですが…貴方は?」 「私は花京院香澄と申します…」 「花京院さん??」 白衣を着た若い女性医師が私に声を掛けて来た。 ツヤのある長い髪を後ろで束ね、目鼻立ちのはっきりとした美しい人だった。 「鹿沼乃絵(カヌマノエ)光の従姉…光から訊いてるわ…ブライダルチェックの件ね」 「え、あ」 「光から何も訊いてないの? 従姉の私も産婦人科医なの…光から貴方の検査頼まれてるの…」 槇村さんが私の担当医ではないよう。 そりゃ、検査とは言え、彼に局部を見られるのは恥ずかしいと思ったけど。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1045人が本棚に入れています
本棚に追加