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侑吾さんはホテルが急いで用意した代えのタキシードに身を包んで、挙式に望んだ。
挙式、披露宴と共に真澄は出禁。
私は高砂席から父の隣の空席を見つめた。
「真澄さんが気になるか?」
「いえ…」
「…香澄は優し過ぎるんだ…だから…真澄さんがつけ上がるんだ…君にも原因がある…それを自覚するんだ。香澄」
「侑吾さん…ゴメンなさい」
「…久しぶりに訊いたな…香澄のゴメンなさい…」
「あ…」
披露宴も進行し、次の余興は響さんのピアノ演奏。
プロのピアニストとして活躍する響さんの姿に会場内から割れんばかりの拍手が沸き起こった。
淡いパープルの上品なAラインドレスに身を包んだ響さん。
スレンダーな彼女のお腹だけは妊娠で大きく膨れていた。
槇村夫妻は赤ちゃんの誕生を心待ちにしている。
「平沢侑吾さん、花京院香澄さん…本日はご結婚おめでとうございます…お二人のご結婚祝福のプレゼントとして致しまして、私のピアノでお祝い申し上げます」
響さんがグランドピアノの椅子に腰を下ろし、ピアノを奏で始める。
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