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曲の選曲は全て、響さんにお任せ。
静かな会場内に響き渡る響さんのピアノの旋律。
まずはドビュッシーの『月の光』を奏で、次はシューマンの『トロイメライ』
と優しい曲調の音で私たちを穏やかな気持ちにさせる。
「!?」
隣で鼾が聞こえだした。
ふと隣を見ると侑吾さんが眠っていた。
「侑吾さん??」
私は居眠りする侑吾さんの肩を揺すった。
「あ…俺、寝てた??」
「寝てました…」
「響さんに失礼ですよ…」
「すまない…ずっと仕事が忙しくて、結婚の準備で眠れなかったんだ…」
穏やかな曲が二曲続き、ピアノの魔術師と呼ばれ、超絶技巧で知られるフランツ・リストが作曲した難曲『ラ・カンパネラ』へと入った。
「やっぱり凄いな…響さん…」
「私…今鳥肌になってます」
「俺もだ…今日の主役…全部…響さんに持っていかれそうな勢いだ」
五分以上続く難曲『ラ・カンパネラ』の演奏終了後、会場内に居た私たち皆が総立ちして、スタンティングオベーションを起こし、響さんに拍手を送った。
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