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いよいよ…父が平沢家の当主を継ぐのか…
俺のその方がいいと思った。
お婆様が当主の座を下りれば、香澄に色々とうるさく言う事もなくなる。
*******
祖父の二十三回忌の法要は平沢家本家の墓がある都内の寺院で執り行われた。
法要後は寺院近くの食事処で出席した親戚一同でお斎を行った。
「…侑吾君と香澄さんが結婚してもう何ヵ月になる?」
「あ…四ヵ月になります…」
「四ヵ月か…」
俺の隣に座るのは成介の父親・笠原栄一(カサハラエイイチ)今年定年退職を迎え、『平沢商事』を退職した。
今は趣味の釣りをしながら…隠居生活を送っていた。
でも、酒好きで酔うと下世話の事を言って、絡んでくるのが鬱陶しかった。
「未だにおめでたの話は訊きませんね…侑吾さん」
俺の目の前に座るお婆様が口惜しそうに言った。
「タミ様も早くひ孫の顔見たいよね…」
「そうです…結婚した以上…子供は作らないと」
「もしかして…ヤる事ヤッてないの?侑吾君」
「・・・」
光曰く赤ちゃんの誕生は奇跡の連続で起きる事。結婚したからと言って、誰でも授かれるワケじゃない。
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