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「離婚届けにサインお願いします…侑吾さん」
「香澄…」
俺たちの結婚生活は突然終わりを告げた。
お婆様から…香澄が国が難病指定している遺伝病の保因者だと知らされた。
俺と香澄の間に生まれた子供は男児であれば、50パーセントの確率で病を発病し二歳まで生きられない。
女児であれば、50パーセントの確率で保因者となる。
どちらにしても…生まれて来る子供たちには辛い十字架を背負わせてしまうかもしれない。
そう思うと、俺は・・・
「・・・」
俺は香澄に促され、離婚届にサインと捺印をした。
「香澄君は花京院家に戻るのか?」
「いえ・・・花京院家には戻れません…父に戻って来るなと言われました」
「じゃ君には頼る先がないんだな…」
「・・・はい」
「じゃ此処に行くといい」
俺は香澄に一枚の名刺を渡した。
「小料理屋「花越前」女将・川添澄子」
「君のお母さんだ・・・」
「母が生きていると訊きましたが…侑吾さんがどうして?」
「君の為に調べた…」
「ありがとうございます…」
「澄子さんは君に会いたがっていたよ…」
「侑吾さん・・・」
「澄子さんは君を受け入れてくれる…ずっと君の事を気に掛けていたから…」
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