見合い当日

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懐石を食べ終え、副社長と真澄は庭に出て行った。 「・・・お似合いの二人ですね」 お義母様は二人を褒め称え、見合いを盛り上げる。 私は二人の酌をしながら、庭の方を見つめた。 ******* 東京駅八重洲口から徒歩十分の十二階建ての大型ビルが「パロット」本社。 主力商品は筆記用具でステーショナリーグッズなども販売。 全国の四か所の生産工場があり、関連会社を含めると従業員数は千名を超える。 会社近くの八重洲地下街は飲食店の激戦区で有名で、東京駅から茅場町まで続くさくら通りには桜の並木があり、春になるとピンク色に染まり、人々の目を和ませてくれる。 私は所属する『商品開発部』が六階フロアの奥にあった。 来週末、予定されている『東京ビックサイト』で開催される文具・紙製品展(ISOT)の準備に追われていた。 副社長との出逢いも二年前のISOTとだった。 「失礼します」 総務部所属の真澄が険しい表情で私に近づいて来た。 「真澄?」 「お異母姉様」 次の瞬間、パシッと真澄は私の頬を叩いた。 フロア内は騒然とする。
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