同類~侑吾side~

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『平沢商事』本社・副社長室。 我が社は繊維業から始まった戦前の大財閥。 繊維を筆頭に機械、金属、化学品、食料、日用品と幅広いビジネスをする総合大手総社。 関連企業も多く、海外支社も多数存在した。 同族経営で平沢本家の嫡男が社長の椅子を継承していた。 俺の父はその七代目。 「副社長も思い切った事をしましたね」 「別に」 俺は奥中に素っ気なく返す。 彼女の異母妹の真澄さんの言動が気になり、探偵を雇い色々と調べた。 彼女の生い立ちからずっと… 彼女は家族に虐げられていた。 身近な存在の家族から冷遇され、一人で辛かっただろう。 俺も同じで彼女と同じ境遇だった。 仕事一筋の父親。 生まれつき体の弱い弟ばかりを気に掛けていた母親。 両親共に俺の存在は眼中になかった。 今でこそ、父親は俺を仕事の上では頼りにしている。 将来の後継者として期待を寄せていた。 自分の存在の意義の為に仕事に没頭した。 仕事上の俺は冷徹な上司だと思われていた。 社内では俺の事を『ビジネスサイボーグ』と揶揄していた。
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